#14 着付けの時に。

スタッフの児玉です。

 

会員さまの中には、着物をお召しになる女性もいらっしゃいます。

トレーニングは、着付けの際にも好影響をもたらします。

これまで、京都、大阪新町、宝塚、とトレーナーの仕事に従事させていただいてきましたが、どの施設にも着物を着られる方がいらっしゃいました。

シチュエーションは、さまざまです。

芸妓、舞妓として仕事で身につけられる方、茶道などの日常で着用される方、ほかには晴れ着として着られる方などです。そうした方々に接していると、トレーニングと着物の関わりもおのずと見えてきます。

 

ある女性会員さまは、お嬢さんの卒園式で着物を着た際に、トレーニングを始める前よりも帯を締めるのが楽になったと述懐されました。

肩甲骨、肩まわりの柔軟性が増すことで、背中に手を回して帯を締める動作に変化が生じられたのです。

こうした所作の変化は、着崩れしにくい着付けにもつながります。

制限のある中で着付けをしようとすると、その労力は生半可ではありません。余裕があるからこそ、帯の位置も決まり、締め具合も望ましいものになってくるのです。

姿勢についても、腰や肩が楽だと猫背の状態にならず、頭の位置も変わってきます。つまり、着こなしのよさにも変化が生まれるのです。

 

さらに股関節に目を転じると、この部位が固まると爪先が開きがちになります。着物を着用する際は、草履を並行にして立つのがよいとされます。それなら、股関節も柔軟性が高いに越したことはありません。

その意味でも、身体の一ヶ所だけに目をうばわれず、全体のバランスを考えてトレーニングしていただくのが望ましいと言えるでしょう。

 

マシンによる理にかなった動作をくり返す中で、日常の所作も洗練されます。

洗練された所作は、美しさに変わります。

トレーニングは、日常をよりよくする可能性を秘めています。

 

P.S.

『それをAIと呼ぶのは無理がある』支倉 凍砂(はせくら いすな)さん(中央公論新社)。

『狼と香辛料』を執筆された支倉さんの1冊、タイトルに惹かれて読み始めました。

これまで以上にAIが日常的になってきた中、AIとの親和性について想像がふくらむ小説でした。シンプルに、作品単体としても心地よい1冊です。

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