#44 ボディメイク(競技篇)

スタッフの児玉です。

身体のフォルムは、動作と密接に関係します。

 

トレーニングでは、しなやかな動作を求めていくことで、それに適した身体のフォルムも培われます。こちらのトレーニングは、そうしたボディメイクの面でも注目されています。

従来的な、りきむ状態を強いられるトレーニングだと、かえってフォームやバランスを崩すこと、フォルムに影響することも懸念されます。

 

ランニングを例にとるなら、緊張を強いられるトレーニングをつづけると、ヒザ、足首を過剰に使って太くなってしまうケースも考えられます。

動作の主体となる脚は、単に太ければよいというものではありません。それこそ、寸胴(ずんどう)のように付け根からヒザ、足首に至るまでが太いようでは、脚の回転速度も高めようがないのです。肥大した部位が動作の妨げになることを考えれば、悪循環そのものです。

 

このテーマで思い出されるのは、イチロー選手の逸話です。

かつて、鳥取/本部代表の小山裕史先生が、講演会でイチロー選手のトレーニング内容を採り上げられたことがありました。

 

イチロー選手はメジャーへの移籍前、それまで以上にマシントレーニングに専心されたそうです。その結果、ハムストリングスと呼ばれる太もも裏側の筋肉や、臀部(でんぶ)、背筋といった部位に、かなりのサイズアップが見られました。

特筆すべきは、足首、ヒザの周囲のサイズが下がっていた点です。これは、ボリュームを求めたくない部位は引き締まっていたことを意味します。

 

理解のないひとからは、足首、ヒザのサイズダウンをあたかもレベルダウンであるかのように言われたそうですが、これは明らかな誤りです。フォルムの変化は取りも直さず、イチロー選手の進化に他なりません。

 

力を合理的に発揮できているか、その力をうまく伝えられているか、そこに向ける視点は持っておきたいところです。

当施設でも、これまでに会員さまの動作、フォルムが変化される様子を数多く目にしてきました。それは、アスリートの方にかぎったことではありません。

フォルムの変化からは、トレーニングの奥深さが垣間みえてきます。

 

P.S. 

『戦国武家の死生観』フレデリック・クレインス氏(幻冬舎新書)。

昨年、アメリカのエミー賞を受賞した『SHOGUN 将軍』の時代考証をされた方の新刊です。織田信長と仏教勢力との争いに関する記述が、とても印象に残りました。

 

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